【ゼミ】『方法序説』第四部の発表原稿
『方法序説』第四部(p.53 5行目~)
神と魂の存在は、身体や天体や地球の存在よりも確かである。
夢に現れる実際とは違う身体・天体・地球も、他の思考と同様に生き生きと鮮明であり、夢の思考が他よりも偽であると分かるのは神がいるためだとしか考えられないから。
先の規則「われわれがきわめて明晰かつ判明に理解することはすべて真である」も、明晰かつ判明である観念や概念は神に由来するものとして真であることから保証される。
完全な存在者である神が存在する → われわれの内にあるすべては神に由来する → われわれの観念や概念は(明晰かつ判明である限り)実在であり、神に由来する → 真である
虚偽や不完全性は、われわれが完全ではないために、その点において無を分有しているからである。
真理・完全性 神に由来する
虚偽・不完全性 無に由来する
実在・真であるものが完全で無限な存在者(神)に由来することを知らないと、どんなに明晰かつ判明である観念も真であるとは保証できない。
この規則「われわれがきわめて明晰かつ判明に理解することはすべて真である」によって、夢の中でも思考することが、覚醒時の思考の真理性を疑う理由にはならないことが分かる。夢の中であっても判明な観念は真であるかもしれないし、感覚が誤りうるのは夢の中だけではなく現実でもだ。
つまり、睡眠・覚醒時にかかわらず、理性の明証性以外によってものごとを信じてはならない。想像力や感覚によるものは、どんなに明晰・判明であったとしても、理性はそれを真だとは教えない。
神が完全かつ真であるゆえに、われわれの観念や概念は何か真理の基礎を持っているはずだ。そしてわれわれの推論は、覚醒時のほうが睡眠時よりも比較的明証的で完全に近いため、思考の真理性は、夢のなかよりも目覚めているときの思考のほうで見出されるはずだ。
と、理性は教える。
考え(思考)と観念
理性は誤らないのか?
明晰判明な観念が真であることと神の存在との間に循環があるという批判
- 作者: デカルト,Ren´e Descartes,谷川多佳子
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