哲学生の記録。

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デカルト

【現代哲学】メルロ=ポンティの他者論  〜共存する主体という事実〜

1、メルロ=ポンティ他者論は、サルトルの批判を起点とし独我論を脱する メルロ=ポンティの他者論は、サルトルの他者論を批判するところから始まる。サルトルは、人間の実存を、意識的存在である対自存在としてのありかたと物的存在である即自存在としての…

【ゼミ】『方法序説』第四部の発表原稿

『方法序説』第四部(p.53 5行目~) 神と魂の存在は、身体や天体や地球の存在よりも確かである。 夢に現れる実際とは違う身体・天体・地球も、他の思考と同様に生き生きと鮮明であり、夢の思考が他よりも偽であると分かるのは神がいるためだとしか考えられな…

【ゼミ】『方法序説』第二部前半の発表原稿

p.20「たくさんの部品を寄せ集めて作り、いろいろな親方の手を通ってきた作品は、多くの場合、一人だけで苦労して仕上げた作品ほどの完成度が見られない」ことについて考える。 ・完成度(低) 古い壁を生かしながら修復につとめた建物 村落が大都市に発展し…

【ゼミ】『方法序説』はデカルトの思考方法を示す

1.『方法序説』は、その考え方によって古典的名著となる 『方法序説』は『広辞苑』によると、1637年に刊行されたデカルトの主著であり、「スコラ学をしりぞけ、明晰判明を基準として一切を方法的懐疑に付し、自我の存在を確立し、近世哲学の礎となった」(…

【西洋文化史概説】ミシェル・フーコー『狂気の歴史』の概要と書評

≪選択テーマ≫ 文化史の発展、あるいはそれに貢献した諸研究の書評。 ≪書名≫ ミシェル・フーコー著、田村俶訳、『狂気の歴史―古典主義時代における』新潮社、1975年。 ≪概要と構成≫ 1.『狂気の歴史』とは何か 『狂気の歴史』の主張とフーコーがこれを著した…

【哲学基礎演習】『方法序説』第二部 デカルトが探求した方法の主たる規則

「たくさんの部品を寄せ集めて作り、いろいろな親方の手を通ってきた作品は、多くの場合、一人だけで苦労して作り上げた作品ほどの完成度が見られない」(p.20) 例) 一人の建築家が請け負って作りあげた建物と、古い壁を生かしながら修復につとめた建物 村…

【哲学基礎演習】上田閑照『私とは何か』の要旨と感想

1.自我の自意識から自覚への転換には、一種の目覚めを誘発する衝撃がある まず「自覚と自意識」の節について要旨をまとめる。 「我は我なり」と言いつつ「我」が開かれる場合の「我」を自己、「我」が閉ざされる場合の「我」を自我と呼ぶことにした。自己…

【西洋近世哲学史】デカルトの方法的懐疑から(思惟の傾向と存在への希望)

1.何もかもが疑わしい(日常生活は別として) デカルトの方法的懐疑は、疑えないものを見つけるためにあらゆるものを疑ってかかるという姿勢だ。デカルトがしたかったことは疑えないものを見つけることであったために、少しでも疑わしいことは、すべて虚偽…

【西洋倫理学史】内なる神のための合理論(デカルトとスピノザ)

合理論とは、経験・感覚を超えたものを存在するとみなす能力、すなわち「理性」に、認識の源泉を求める考え方である。私は、デカルト・スピノザの二人が経験・感覚を超えたものを存在するとみなす能力「理性」に知識の源泉を求めたのは、そもそも二人が経験…