【卒論準備】テーマを考える
私はせかされるのが嫌いだ。しかし、日常のなかで執拗にスピードが要求されることや、逃せないタイミングは多くあるように思う。
これは、いつの世にもあったことなのか、それとも現代の日本社会は特にせかせかしているのか、ということで、時間観と暮らしかたの関係を調べたい。結論としては「時間に追われる必要はない」と言いたいが、これはただの気持ちの問題かもしれない。
「時間」とは何なのか。天体の動きを目盛りでくぎったものなのか、運動との関係でとらえられることがある。眠たい講義に耐えているときと趣味に没頭しているときでは、主観的な時間の流れに違いがあることも、興味深い。
特に、時間は文化によって作られるものだと仮定して、文化の社会構造との関連でどのような時間観があるのかをみたい。今のところ「反復する時間」「円循環する時間」「直線状に発展する時間」の三パターンがあるようだ。このパターンの違いには、たとえば狩猟・農耕・近代産業というような、大枠の産業構造の変化が大きく関わっていると考えられる。そこで、暮らしかたのなかでも、暮らしと働くことの関係が変化している点に注目したい。働く場が「家」ではなくなったときに、生活と労働は、そこに金銭報酬があるかないかで分断された。タイムカードを切る働き方は「時間単位の身売り」と揶揄されることもある。これは「時間の所有」が「私の自由」だと考えられているからだ。
また、その文化が信じている宗教的なものも影響しているだろう。自然と人間の命をどのような関係性でとらえているか。死後の世界を現世とは別の世界として想定しているか、生まれ変わりを信じているか、その両方か。自分は死んだあと、ほかのものに生まれ変わってこの世に戻ってくると信じている場合と、死んだらあの世で極楽だと思っている場合では、見通せる将来のスパンや、生きているうちの目的も異なってくるに違いない。
時間のなかでしか生きられないように思われるが、時計がなくても死にはしない。もう少し時間を気にせず、そのときどきの感覚を大切にしていきたいなぁという希望を込めて。つまり、ゆっくりだらだらしたいんです!!と主張したい。
☆今まで読んだ本
(下線は、今のところ特に参考にしたいもの)
内山節『「里」という思想』新潮選書、2005年。
内山節『時間についての十二章 哲学における時間の問題』岩波書店、1993年。
内山節、竹内静子『往復書簡 思想としての労働』農山漁村文化協会、1997年。
内山節『自然・労働・協同社会の理論』農山漁村文化協会、1989年。
C・G・ユング『現在と未来 ユングの文明論』平凡社ライブラリー、1996年。
- 作者: カール・グスタフユング,Carl Gustav Jung,松代洋一
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1996/11/01
- メディア: 新書
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シモーヌ・ヴェイユ、富原眞弓訳『自由と社会的抑圧』岩波文庫、2005年。
シモーヌ・ヴェイユ、黒木義典・田辺保訳『労働と人生についての省察』勁草書房、1967年。
田中夏子、杉村和美『現場発 スローな働き方と出会う』岩波書店、2004年。
竹中恵美子、大脇雅子、丸本百合子『共生・衡平・自律 21世紀の女の労働と社会システム』ドメス出版、1998年。
広井良典『グローバル定常型社会 地球社会の理論のために』岩波書店、2009年。
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』新潮社、1996年。
辻真一『スロー・イズ・ビューティフル 遅さとしての文化』平凡社、2001年。
☆これから読みたい本
(てきとうに挙げただけ)
エドワード・T・ホール『沈黙のことば』『かくれた方向』『文化を超えて』
エリアーデ『聖なる空間と時間』
デヴィット・スズキ『聖なる均衡』
ウェンデル・ベリー『ライフ・イズ・ア・ミラクル』
シューマッハ―『スモール・イズ・ビューティフル』
ホーケン『サステナビリティ革命』
島村奈津『スローフードな人生!』
イバン・イリイチ
ドネラ・H・メドウズ
バートランド・ラッセル『怠惰への賛歌』
鶴見俊介『神話的時間』
本川達雄『時間の見方・変える時』
ダグラス・ラミス『経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか』
ポール・ラファルグ『怠ける権利』