哲学生の記録。

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2019-01-09から1日間の記事一覧

【社会倫理学】「人間」の動機 -シュトラウス・コジェーヴ論争からー

1.クセノフォンの『ヒエロン』をめぐって 名誉と労働の概念を手掛かりとして、シュトラウスとコジェーヴの争点を検討する。 レオ・シュトラウスは、クセノフォンの『ヒエロン』という対話篇を非常に独創的に解釈してみせることによって、現代にも通じる道…

【社会倫理学】注意深い古典読解の意義

1.読書の精神 このレポートでは、注意深い古典読解の意義について述べたいと思うが、古典読解の前に、まず読書とは何であるかを考えてみたい。 読書とは、字の如くすれば、本を読むことである。三木清は、「もし読書の精神ということがいえるなら、読書の…

【西洋文化史概説】アウトサイダーのスティグマ ―なぜ彼らは迫害されたのか―

0.はじめに 中世ヨーロッパでは、魔女や異端者として、非合理的に迫害された人たちがいた。しかし彼らが迫害されたのには、当時としては正当だと思われた理由があったのであり、そこにはなんらかの社会的、もしくは民衆心理的な動機があったに違いない。そ…

【西洋文化史概説】ミシェル・フーコー『狂気の歴史』の概要と書評

≪選択テーマ≫ 文化史の発展、あるいはそれに貢献した諸研究の書評。 ≪書名≫ ミシェル・フーコー著、田村俶訳、『狂気の歴史―古典主義時代における』新潮社、1975年。 ≪概要と構成≫ 1.『狂気の歴史』とは何か 『狂気の歴史』の主張とフーコーがこれを著した…

【東洋美術史】北宋と南宋の山水画

1.北宋の山水画 〜大地を正面から描く〜 北宋と南宋の山水画を比較すると、北宋の山水画には山や大地が主題として描かれていると言える。そしてその特徴は、正面性の強い構図だ。たとえば范寛の「谿山行旅図」では、かなり存在感を持った山が画面の中央に…

【東洋美術史】范寛の「谿山行旅図」について

范寛の「谿山行旅図」についてレポートする。この作品は北宋時代のもので、絹本墨画淡彩である。大きさは、縦206.3cm、横103.3cmと、なかなか大きい。 1.モチーフ まずぱっと見て何ともインパクトがあるのが、画面中央に堂々と描かれている重量感のある岩…

【臨床心理学実習】ロールシャッハレポート

テスト参加者は、22歳の大学生(女性)R.N.であった。検査者は21歳の大学生(女性)であり、テスト参加者との関係は、大学の学生寮で同じ階に住んでいる友人である。 反応総数Rは30なので、被験者は比較的検査に協力的で関心を持ち、検査者に対してあまり防…