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【英書講読】応用倫理の特徴

1.応用倫理とは

応用倫理は、具体的で議論の余地のある道徳的問題(例:妊娠中絶、動物の権利、安楽死など)の分析からなる倫理の分野だ。

近年、応用倫理の問題は、手頃なグループへと再分化した。

→医療倫理、企業倫理、環境倫理、性倫理など。

 一般的に言われることには、ある問題が「応用倫理の問題」とみなされるには、2つの特徴が必要だ。

 

特徴①その問題は「近くにその問題に賛成と反対する人々の重要な集団がいる」という意味で議論の余地がある必要がある。

(例)走行中の車を使った射撃の犯行は、応用倫理の問題ではない。

   なぜなら、すべての人がその実行は全く道徳的ではないことに同意するから。

    ↕ 一方

   拳銃操作の問題は、応用倫理の問題だろう。

   なぜなら、拳銃操作に賛成と反対する人々の重要な集団がいるから。

 
特徴②二つ目の必要条件は、それがはっきりと一つの道徳の問題でなければならないということだ。

あるとき、メディアが私たちに取り扱いの難しい問題の勢ぞろい(積極的差別是正措置、軍の同性愛者、精神障害者の不随意の犯行、資本主義vs.社会主義の商慣習、公的vs.私的な健康管理システム、エネルギー保存)を進呈してくれた。

これらの問題は、すべてに議論の余地があり、社会への重要な影響力を持っているけれども、それらはすべて道徳の問題ではない。

いくつかはただ社会政策の問題だ。

社会政策の目標は、ある社会が効率的に立ちゆかせるのを、しきたり(交通法規、税規定、区域規則)を工夫することによって手伝うことだ。

 ↕ 対照的に

道徳の問題は、もっと普遍的で義務的な実践(嘘をつくのは避ける義務など)に関することであり、個々の社会に制限されない。

 

2.社会政策と道徳の問題は区別される

しばしば、社会政策と道徳の問題は重なる。殺人が社会的に禁止され、反道徳的でもあるように。

しかし、2つのグループの問題はしばしばまったく異なったものだ。

たとえば、たくさんの人が性の乱交は反道徳的だと主張するが、性行為を制限する社会政策や、乱交を罰する法があるべきだとは感じない。

同様に、いくつかの社会政策は特定の地域の居住者にガレージセールをするのを禁ずる。しかし、その隣の人は罪を犯さないというかぎりでは、それらの地域の一つでガレージセールがされること自体に反道徳的なところは何もない。

つまり、応用倫理の問題として分類するために、その問題はただの社会政策(それはもちろん道徳的に妥当でなければならない)の一つ以上のものでなければならない。

 

3.応用倫理の問題解決策

理論的に、特定の応用倫理の問題を解決することはたやすくあるべきだ。

妊娠中絶の問題では、たとえば、私たちはその道徳性を単に行為功利主義のように規範的な選択の原理を考慮することによって決めるだろう。もし、ある中絶が生み出す利益が不利益よりも大きければ、その時、行為功利主義によると、その中絶をすることは道徳的に許されるだろう。

不運にも、おそらくは何百もの対立する規範的な原理があるし、選ぶことによってそれらの多くは反対の結論を導き出す。

つまり、葛藤する理論の間での規範的倫理の行き詰まりは、私たちが具体的な問題の道徳性を決定するための単一で決定的な処置を使うことを妨げる。

この行き詰まりに対する今日通例の解決策は、ある問題への規範的原理の典型のいくつかに意見を求め、証拠として重みのある箇所を見ることである。