哲学生の記録。

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【哲学基礎演習】ソクラテスが死を恐れない理由

パイドン―魂の不死について (岩波文庫)

p.28(三)

哲学者は死を恐れない。死とは魂と肉体の分離であり、哲学者は魂そのものになること、すなわち、死ぬことの練習をしている者であるのだから

哲学者は死に臨んで恐れを抱くことなく、あの世で最大の善を得る希望に燃える。

哲学者は死ぬことと死んだ状態にあること以外の何も実践しない。

哲学者の仕事はできるだけ肉体から離れ、魂の方へ向きを変えること。肉体をとおしてやってくる快楽に見向きもしないような人は、多くの人から見てほとんど死んだも同然の状態にある。

 

知恵を獲得するために肉体は邪魔

肉体と協同してなにかを考察しようと試みれば、魂は肉体によって欺かれる。

もしも存在するものの何かが魂に明らかになるとすればそれは思考においてであり、思考がもっとも見事に働くときは魂が可能な限り肉体から離れて真実性を希求する時である。

 

死後には魂と肉体は分離されるので、知を獲得することが可能になる

魂と肉体を分離することが仕事である哲学者はつまり死の練習をしているのであり、哲学者が死を恐れるのは不合理。

 

パイドン―魂の不死について (岩波文庫)

パイドン―魂の不死について (岩波文庫)