哲学生の記録。

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【博物館実習】博物館学芸員の資格について

私が博物館学芸員の資格取得を目指しているのは、博物館という場所が好きであり、そこでできることに大きな可能性を見るからである。博物館では、物が大切にされている。私は物を大切にするのが好きなので、物が大切にされている場所は心地よく感じる。そして、物を大切にすることは人の気持ちを大切にすることだと私は考えている。どんな物にもそれをつくった人がおり、つくられた物にはつくった人がそれをつくった目的が投影されている。博物館でできることは、訪れた人とそのような物に込められた思いとの交流だと思う。とすれば博物館学芸員の仕事は、人と物の出会いをお膳立てすることに他ならないだろう。私は中高生の頃、近所にあった土曜日のみ高校生以下は無料の美術館に毎月のように入り浸っていた。屏風や茶器や江戸時代の嫁入り道具などが並べられたそこはとても居心地が良かった。そこは私にとって美しい物にかこまれた落ちつける空間であり、しかも知識まで与えてくれる場所だった。そしてその頃は特に学芸員の仕事を意識したことはなかったが、大学で学芸員の資格が取れることがわかり、あの空間を作り出すために労力をかける職業の人がいたのだと思いいたった。しかも博物館にまつわる授業を受けていくうちに、今まで私が知らなかった試みを行っている博物館が存在することを知った。博物館にはアイデア次第でかなり多くの可能性があるのだ。私だったら、訪れた人がどんなふうに物と出会う空間を提供できるだろうかと思う。

 

 

(物に込められた製作者の思いを大切にしようとすることは、目の前の人の気持ちを思いやること以上に難しいだろう。物は大切にされなくても文句は言わないからだ。)