哲学生の記録。

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【民俗学】伝統食について

主食のタロイモを手放したハワイの先住民の心臓病罹患率は、米国平均の2倍、糖尿病は7倍だという。日本の場合も、世界一の長寿を実現した理由は何であったのかと考えると、それは医療技術の進歩のためだけではなく、魚と大豆と米を中心にした伝統食の要因も大きかったろうと思われる。いま日本では、女性の多くが便秘や冷え性を訴え、子供にまで糖尿病が広がる。食事に関与の深い大腸ガンの発症率はついに米国を超えた。私たち日本人は本来何を食べるべきなのか。ファーストフードよりも伝統食の方が、栄養価は高く食物繊維も豊富である。しかし、地場産品には価格が高いという面もある。また、家庭での食習慣は子どもに現れる。小さいときに覚えた味は身に付くので、ファーストフードで育った子どもはその味をおいしいと思うのだ。学校給食で、日本食である和え物や煮物の残菜が多いのは、家庭での体験がないからである。

生き物はそもそも、生まれた環境に身体を適応させてきている。伝統食を見直せば、健康が回復するだけでなく、民族としてのプライドも回復するだろう。また、食事にかける時間がないしめんどくさいというのであれば、食事をたんなる栄養摂取として捉えずに人生の楽しみの一つとすることは、自分自身が生きるという生活を大切にすることになる。