哲学生の記録。

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【心理学】MMPIとP-Fスタディの結果から、20歳女性(大学生)のパーソナリティを考察する。

1.MMPIの結果

まず、MMPIの結果を見る。

妥当性尺度では、L尺度は低得点であり、自分に自信を持ち、欠点や弱点も自認しながら率直な態度で回答していることがわかる。洞察力があり社会的に敏感で、独立心は強い。自分の考えを人に十分に伝えることができる。F尺度はきわめて高い。F尺度は、逸脱した応答の構えを検出するための受験態度の指標であり、妥当性を欠くプロフィールでなければ高得点は重篤な精神病理を表す指標であり、検査外行動について推論するという機能も持つ。F尺度がT得点79というと、非常に偏った社会的・政治的・宗教的信念の持ち主である。K尺度は大学生の平均から考えると低得点であり、「そう」と「違う」の回答比率は153:230と、ほとんどすべての項目に「当てはまる」と答えているわけではないことから、助けを求めようと故意に自分の問題を誇張して訴えている可能性がある。自分にも他人にもひねくれて懐疑的であり、日常生活上の諸問題にうまく対処できない。抑制的で、表面的、権威に過度に従順であり、固有テンポが遅く、対人接触が苦手で辛辣で粗野なところがある。

臨床尺度については、心気症傾向を測る第一尺度は低得点で、楽天的で精神に張りがあり、身体上の事柄にとらわれない。つまり心気症傾向はみられない。第四尺度を見ると、非社会型・非道徳型の精神病質的人格の傾向が、大学生ではしばしばT得点が高いことを考慮しても高めだ。衝動的で我慢ができず、計画を立てずに行動し、素行に罪悪感はない。活動的、外交的、知性的で、自信がある。不安や精神病の症状はないが、人格障害と診断されやすい。悩みやすく空虚感を持つが深みはない。第五尺度は、性についての考え方を測る。この尺度は知能や教育水準、社会階層の高い人ほど高い得点をとるもので、大学生ではT得点60~70も珍しくはないのだが、32点とかなり低くなっている。自らの女性らしさに疑いを抱いており、受動的、素直、男性への従順という社会通念となった女性的役割をとっていることを自認している。精神科入院患者の場合でも、精神病のおそれはなく、社会生活能力はある。パラノイア傾向を測る第六尺度はやや上昇しており、親切で思いやりがあり、率直、興味の範囲が広く勤勉で、仕事や活動には自発的である。知性的、合理的な思考力、洞察力がある。対人関係では従順、依存的で自信に欠け、心労傾向がある。精神分裂病傾向を示す第八尺度と軽躁病傾向を示す第九尺度はやや高めだが、青年期に起こりやすい特徴を反映したものと考えられる。第0尺度より、社会的にやや内向的である。

 

2.P-Fスタディの結果

次にP-Fスタディの結果を解釈する。

被験者の集団への常識的な適応度を示すGCR%は43%であり、平均値が58%であるので、社会適応性は低いといえる。

プロフィール欄においては、O―D%が平均値24%に対して44%と高いため、欲求不満場面では自我の活動反応を率直に表明せず、E―D%は平均値55%に対して35%と低く、ストレスを解消するために自我を強調することは少ないと推察される。失望や不満を外に向ける反応であるE´が高く、攻撃性を示すEが低いことから、不満や失望があるときには欲求不満に打ちのめされてしまい、社会適応に必要な程度の自己主張や他人に責任の矛先を向けることはせず、外に働きかける方法での問題解決には向かわない。これに対応するように、内にこもる反応であるI´は高く、自責、自己反省の反応であるIは低いが、不満を起こした原因を自分に求め、自らの努力で問題解決を試みるiは高いため、自分に責任があるとは思わず問題の所在をはっきりさせることもないが、自己内の努力で問題を解決できると妄信していると考えられる。M´は高く、これは他人に対しても自分に対しても攻撃的ではなく、失望や不満の表明を最小限にとどめてしまう抑制的な傾向が強いことを示す。Mが著しく低いことから、忍耐心や遵法性はかなり乏しい。

超自我因子欄では、幼稚な攻撃性を示すE-E%が0%であり、精神発達的には非常に成熟している。I-I%は低く、自己反省に乏しいことがわかる。反応の転移は、前半から後半に移るに従って、不満を外に向けるE´反応が多くなり、不満の表明を抑制するM´反応は少なくなっている。慣れると不満を出してくるということだろう。

 

3.総合

両テストの解釈を総合すると、共通するパーソナリティ特徴には、攻撃や主張の自己抑制、衝動的に行動し罪悪感がなく反省しないこと、非一般社会道徳性がある。内向性や外への働きかけ、自信の有無に関しては一見矛盾するような結果があるが、自己の能力に自信はあるが他人に接しての自信はなく、外交の結果さえも自己内に集約していると考えられる。